■ギロチンによる生態系の破壊
諫早湾に囲まれた有明海は,元来,貝や魚などが豊富に生息し,漁業が盛んに行われる,「宝の海」でした。
ところが,1997年4月,諫早湾は,国営諫早湾干拓事業の一環として,潮受け堤防により締め切られることとなり(いわゆる「ギロチン」),この潮受け堤防の建設工事着工直後から,有明海の漁場に様々な異変が起こりました。
■漁業の危機
諫早湾口で工事のために大量に海底の砂を採ったことなどから,諫早湾内のタイラギは1991年から減少し,1993年からはまったくとれなくなりました。また,堤防締め切り後には,湾内だけでなく,有明海全体でタイラギがほとんどとれなくなりました。
有明海の主要魚種であるヒラメ・カレイ・クルマエビなどの底生種も,諌早干潟が稚魚の生息域であったため,工事が進行するに連れて徐々に減少していきました。潮受け堤防による締め切り以降,魚類はさらに減少し,有明海全体の漁獲量はピーク時の半分以下に落ち込みました。
養殖業であるノリについても,2000年12月には歴史的な大不作がありました。その後も,2002年にも再び有明海全体でノリが不作になりました。ノリは養殖業であるため,漁業者が漁期を増やしたり,労働時間を増やしたりするなどの経営努力を行い,何とか売り上げ枚数を確保して,かろうじて漁業を続けている状況ですが,年々廃業する人が増えています。
また,アサリ養殖業に関しても,2007年には赤潮の発生により全滅する被害が出ています。
漁船漁業,採貝,養殖業を問わず,有明海沿岸漁業は危機に瀕しています。廃業する漁業者は年々増え続け,漁業者の自殺,離婚も後を絶ちません。もちろん,現状の有明海で後継者など育つはずもありません。このままでは,有明海沿岸漁業が消えてしまうのは時間の問題です。
■「宝の海」を取り戻すために
有明海沿岸地域は,漁業がその中心的産業であったといっても過言ではなく,「宝の海」有明海を取り戻すことが有明地域の再生につながるのです。
私たち,「よみがえれ!有明海訴訟」弁護団は,漁業者をはじめとする原告および多くの支援者とともに,有明海の再生を目指して,潮受け堤防の開門に向けた活動を行っています。