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障害問題

2016年7月8日(金)

安永訴訟 上告棄却を受けての弁護団声明

弁護士:國府朋江

安永訴訟、上告棄却、上告不受理でした。

この事件については、つい先日の6月17日、東京で支援者が集まり、もう二度とこのような事件を起こさないとの決意を固めたところでした。

今年の6月11日、佐賀で行われた全障研の九州ブロック大会で、

「うちの事業所では、障害当事者が、自分達のつくったパンを近所の警察署に持ち込んで売りに行っています。」「健太さんの事件がなかったら、こういうふうに警察署に売り込んで、障害者のことを知ってもらおうなんて活動しなかったと思う。」という活動が紹介されました。

これからも、本件のような痛ましい事件を起こさないよう、このような活動を続けていかなければなりません。

以下に、弁護団声明を掲載します。

 

安永訴訟最高裁決定に対する弁護団声明

2016年7月8日

 

安永訴訟弁護団

弁護団長 河西 龍太郎

 

 

本年7月1日、最高裁判所第二小法廷は、弁論期日を経ることなく、安永訴訟福岡高裁判決に対する安永健太さんのお父さんと弟さんによる上告を棄却する決定を言い渡した。

本件は、中等度の知的障害があり自閉症もあったと思われる25歳の青年が、就労支援先から自転車で帰宅中に、パトカーで警ら中の警察官から薬物中毒者と決めつけられ、有形力を行使され、最終的には、アスファルトにうつ伏せにして4名以上の警察官から後両手錠の状態で押さえつけられて、心臓突然死したという、まことに痛ましい事案である。

一審の佐賀地裁判決が、社会内に多数の知的障害者や発達障害者が存在する事実について全く配慮・言及しなかったのに対し、二審の福岡高裁判決は、警察官には、相手が知的障害者であると認識していない場合においても、そのように推認できる場合には、ゆっくりと穏やかに話しかけて近くで見守るなど、その障害特性を踏まえた適切な対応をすべき注意義務があることを一般論として認めた。その点では一定評価できるものだったが、本件については、注意義務違反はなかったとした。これに対し、私たちは、警察官職務執行法、国家賠償法、民事訴訟法の解釈の誤り、および、障害者を差別してはならないという平等原則(憲法14条)に違反したことを理由として上告し、障害者分野等の専門家の意見書も添えて提出した。しかしながら、最高裁は、民事訴訟法上の上告理由に該当しないという形式的理由をもって、上告を棄却した。

わが国における障害者権利条約の批准、障害者差別解消推進法の制定とその施行、関連する法改正等の経過に鑑みれば、障害がある青年として自分らしい毎日を精一杯生きていた安永健太さんが、現場の警察官らの無理解による乱暴な対応によって、身体の動きを制圧され、理由もわからないまま、極度の緊張と興奮のために心臓突然死させられた事実は、決して看過できない。

それにも関わらず、最高裁判所が、実質審理することなく、上告理由にあたらないという形式的な理由で上告を退けたことについては、人権の砦として担っている少数者の人権擁護という職責を放棄するものとしてここに厳重に抗議する。

最高裁判所は、本年4月25日、ハンセン病療養所等における特別法廷につき、「差別的な取扱いが強く疑われ、違法だった、定型的な運用で特別法廷が開かれ、偏見、差別を助長した。患者の人格、尊厳を傷つけたことを深く反省し、おわび申し上げる」との声明を表明している。

しかし、かかる差別的な取扱いは、ハンセン病療養所に限らず、あらゆる障害者関連施設や地域社会の場面で見られ、とりわけ健太さんのような知的障害・発達障害のある当事者にとっては日常的に遭遇することである。

現に、本件について、控訴審において5万8930筆の切実な署名が寄せられており、また、本年6月17日に東京で開催された支援集会には135人の支援者が集い、「障害のある自分の子どもも警察官に不審者と誤認され、ひどい扱いを受けた。他人事ではない。」など、二度と同様の被害が生じないよう、声を上げていくこと、国や地方自治体が責任をもって警察官等に対する啓発を行うよう働きかけ続けていくことを確認したところである。

このたびの上告棄却については、極めて遺憾であるが、この訴訟闘争を通じて、出会うことのできた心ある方々、当事者、関係する専門家の声と行動から、社会を変えていくことが出来るという確信を得ることができた。

「たとえ最高裁で敗訴するとしても、この闘いは終わらない」と、宣言した健太さんのお父さんの思いを、私たちも共有し、二度と健太さんのような犠牲者を出すことのない社会の構築のために、いっそう力を注ぐこと、社会内のすべての人びとに、その理解を求めることを、改めて強く宣言する。

 

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