中山篤志 弁護士記事

2025年2月2日(日)

HPVワクチン薬害訴訟報告-被告側専門家証人の反対尋問が行われる。

子宮頸がんを防げるという触れ込みでワクチンの積極的勧奨がされたことでワクチンを接種して重い副反応被害にあった女性が製薬企業と国を被告に訴訟を開始して早や9年、現在、終盤の闘いが行われています。
1月20日(月)、福岡地方裁判所にて被告企業側の専門家証人である園生雅弘(そのおまさひろ)医師に対する原告弁護団からの反対尋問が行われました。全国4地裁で初めての反対尋問です。反対尋問は、主尋問でなされた証言の信用性を減殺するために行われます。
園生医師は、帝京大学教授の脳神経内科医。年間約100例の機能性神経障害(FND)患者の診療にあたるFNDの専門家です。
被告企業はワクチンの副反応という原告の主張を否定し、歴史的に,ヒステリー、心因性疾患、転換性障害、身体表現性障害、心気症などさまざまな病名で呼ばれてきた疾患である機能性神経障害(FND)だと主張しており、それを裏付ける証人として園生医師が証言したのです。
証人は、本裁判に関し、次のような意見を述べていました。
「HPVワクチン接種後の神経症状は未知の疾患だという医師がいる。しかし、同じ症状は、フロイトの時代から知られており、それがFNDである。神経内科を訪れる患者の2割程度でみられ、多くはストレスが原因。これを自己免疫性脳症だといっているのは、(原告側の専門家証人として証言した)髙嶋医師だけである。」
今回の反対尋問から明らかになったことは、先ず、FNDとストレスとの関係は不明ということです。FNDの診断基準からストレスとの関連性は削除されていること、園生医師もストレスを症状に転換することは実証されていないと証言しました。FNDと思われてきた疾患の中には、実は重症筋無力症や多発性硬化症、自己免疫性脳症だと分かってきた歴史があります。仮にFNDの診断基準に該当しても、副反応を否定したことにはならず、ましてやストレスが原因とは言えません。
また、副反応被害者の多様な症状をFNDでは説明できないことも明らかになっています。様々な症状があると言いながらも、園生医師が診ている症例の9割程度は筋力低下で、運動系と感覚系が中心だと証言しました。園生証人はHPVワクチンの副反応被害について2例の診察経験があるのみで自分のもとで治療を行っていないことも証言しました。
最後に裁判官から「1人の患者で、運動系、感覚系だけでなく、自律神経・内分泌系、認知・情動系などの多様な症状をあわせもった患者は、よく診られるのでしょうか。」という質問がされて、園生医師は「私のところにはそういった患者は来ていません。」と答えていました。
今回の尋問によって、HPVワクチン接種後の神経症状をFNDでは説明できないことが明らかになったと思います。
1月27日には、同じく福岡地方裁判所で、被告企業側の専門家証人である大阪大学特任教授の畑澤順医師の被告企業による主尋問が行われ、主として脳血流SPECTについて意見が述べられました。
畑澤証人に対する原告弁護団からの反対尋問が4月14日の11時から行われます。抽選になる見込みですので傍聴を希望される方は9時45分~10時15分に裁判所の裏手に来られてください。引き続きご支援よろしくお願いいたします。

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