弁護士記事

HPVワクチン薬害訴訟報告-福岡地裁の証拠調べ手続きが終了しました。

 子宮頸がんを予防できるという触れ込みでワクチンの積極的勧奨がされたことで重い副反応被害にあった女性たちが製薬企業と国を被告に福岡を含む4地裁で訴訟を開始して早や9年、10月20日(月)に福岡地裁では、原告本人尋問が終わり証拠調べ手続が終了しました。そこで、極く簡単ですが振返りをします。

 この訴訟の最大の争点であるワクチンと原告に生じた症状との因果関係について、原告側がワクチンによる免疫介在性の神経障害と主張していることに対して被告らは心因性(心の病)と反論しています。

 原告側の専門家証人6人の内4人は多くの副反応被害者を実際に診療した経験のある臨床医です。福岡地裁で証言した高島博先生は橋本脳症を中心とする自己免疫性脳症の診療経験に基づき、約70名の被害者を診療し「びまん性脳障害」に特徴的な症状を見出したこと、脳血流スペクトで客観的な脳症の所見を確認するなどして抗体検査の結果と免疫治療が効いていることから自己免疫的機序による神経障害であることが裏付けられることを証言されました。危険なワクチンの使用を阻止することができるのは司法しかないということも証言されました。国が副反応は心因性でワクチンとの因果関係を認めない立場であるため、多くの原告が受診をしても医療機関の多くが心の病説に沿ってまともに診療をしてくれない中、原告側の専門家証人の医師たちは臨床現場で患者の症状に立ち向かい治療実績や知見を積み上げてきた尊敬すべき先達だと思います。

 これに対して被告側の専門家証人12名(!)は原告側の証人へのカウンターとして証言しました。しかし、原告らに生じた症状はストレスが原因であり心因性疾患として説明できると証言した5名の証人のうち2名は被告企業から多額の資金提供を受けていたことが明らかとなっており、これ自体で証言の信用性は損なわれているというしかありません。また、いずれの証人も実際に被害者を臨床現場で診療した経験がない方ばかりで、原告のカルテだけを見て心の病であると断言するというものが多かったです。被告は、カルテからイジメや友人・家族との葛藤の記載があることを捉えてこれが原因の心因性反応だと断じており、それに沿った証言ということなのでしょう。しかし、別の期日にあった原告本人尋問では、カルテに記載があるものの深刻な問題ではない葛藤を原因としたり、葛藤が見当たらない原告には成績優秀であることで勉強を頑張り過ぎたことがストレスという決め付けをしたり、症状の後の葛藤を症状と結び付けたりするような質問が被告側からされていました。

 ただし、被告側の証人でありながら、精神科の専門医は、患者を直接診察せず、カルテのみで心因性疾患と判断するべきではないとまっとうな証言をされた方もいらっしゃいました。また、原告の症状経過がこれまで診療にあたってきた心因性疾患の患者とは症状の多様性において「歴然の差」があるという証言もされました。

 12月の大阪の原告本人尋問からしばらく期日は開かれず、再来年(2027年)2月に結審をして4月に判決となります。原告団弁護団は、支援者と一緒に「主戦場は法廷外にある!」を合言葉に活動していきます。ご支援よろしくお願いします。

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弁護士紹介中山 篤志

中山篤志 弁護士

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