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弁護士記事中山 篤志:その他

2026年3月16日(月)

養育費等の支払確保に向けた改正がされたことを御存知ですか?

中山 篤志

1.財産開示手続等による方法

前回の拙稿(2026年1月16日付け「財産開示手続を御存知ですか?」)では、債権者が債務者の財産に関する情報を取得するための財産開示制度が権利実現の実効性をあげるために改正されたということを書きました。

今回は、養育費(2026年4月1日以降に発生するもの)の支払確保に向けても使い勝手の良い制度になっていること等を紹介します。

すなわち①財産開示手続②債務者の給与債権に係る情報取得手続③当該債権の差押えの手続き、以上①~③の手続を1度の申立によって連続して行うことができるようになりました。それゆえ、①養育費用の債務者(例えば離婚した元夫)の財産開示を求めることができますし、②裁判所を通じて、市町村や日本年金機構などから、債務者の勤務先を特定するために必要な情報を取得することができるようになりました。③その情報に基づいて給料債権の差押えを行うことができます。

2.先取特権の付与など

 2025年12月15日には國府弁護士が「2026年4月1日から始まる法定養育費とは?」という記事を書いており、「法定養育費」と「先取特権の付与」について解説しています。今回、若干補足をしておきます。

(1)先取特権の付与

 2026年4月1日以降に生ずる養育費に限って一定の範囲(子ども1人当たり月額8万円まで)で一般先取特権が付与されました。

 先取特権とは、「他の債権者よりも優先して債務者の財産から弁済を受けられる」という権利です。

 これまで民法にはマンションの管理費などの「共益の費用」、従業員の給料などの「雇用関係」、「葬式の費用」や「日用品の供給」などにこの権利が認められていましたが、今回の改正で、新たに「子の監護の費用(養育費・婚姻費用等)」が追加されました。優先順位は、「共益の費用」、「雇用関係」に次ぐ第3位です。

 したがって、債務者の預金口座等を差し押さえる際、消費者金融や一般の債権者よりも、養育費の未払い分が優先されます。公正証書、調停調書、判決といった「債務名義」がなくても民事執行の申立をすることができます。

(2)法定養育費

 養育費の取決めをすることなく協議離婚をした場合(2026年4月1日以降)に、離婚から引き続き子の監護を主として行うものが子ども1人当たり月額2万円の養育費を請求することができるようになりました。

 あくまで暫定的なものですから、実情に合わなければ調停などで増額を求めることも可能です。