弁護士記事

第6次男女共同参画基本計画素案に関するパブコメ

 政府は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)に基づき、第6次男女共同参画基本計画を策定する予定で、この度、専門調査会で取りまとめた「第6次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」について、国民の意見募集(いわゆるパブコメ)を実施しました。期間は8月26日から9月15日までの間でした。
 意見を言いたいところは沢山あるのですが、特に選択的夫婦別姓制度に関して、素案は、基本認識において、「男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響が中立的な制度・慣行を構築することが不可欠である。」としながら、「(2)イ家族に関する法制の整備等」において、選択的夫婦別姓制度実現に向けた施策内容が、第5次の計画内容と全く変わっていません。2024年10月末にCEDAWが示した総括所見12において、「(a)女性が婚姻後も婚姻前の姓を保持できるようにするために、夫婦の氏の選択に関する法規定を改正する。」との勧告がなされ、さらに「最終見解のフォローアップ」として、「58. 委員会は、締約国に対し、2年以内に、上記パラグラフ 12(a)、24(a)、42(a)及び (c)に含まれる勧告を実施するためにとられた措置に関する書面による情報を提供するよう要請する。」 旨の勧告がなされています。12(a)、すなわち、選択的夫婦別姓制度実現について、実施状況を2年以内(2026年10月末)に執られた措置を情報提供するように要請されているにも拘わらず、第5次計画と変わらない目標内容にして、進んだ措置が政策的にとれるはずがありません。政府は、女性差別撤廃条約の締約国としての義務を果たせるよう、勧告にしたがって、選択的夫婦別姓制度実現に向けてより効果的施策を実現できる政策目標を策定すべきです。本条項の内容は、CEDAWの勧告を100%無視するものであって、到底許容できるものではありません。
 今年の6月には、各政党が選択的夫婦別姓制度に向けた改正案を提示するなど、「もしかして..!?」という機運を見せていたのに、7月に選挙があった後、通称使用でいいじゃない、かの意見が多くなってきたかのようで、今後どうなっていくのか、見通せません。しかしながら、現状で多くの選択的夫婦別姓制度改正案が現行戸籍制度の維持を前提にしているのに対し、「通称使用」を法律化する案は、逆に戸籍による身分関係の公証制度を揺るがすものでしかありません。パスポートで、戸籍姓を維持しながら通称を身分関係において対外的にも徹底することはできませんし、通称使用ではマネーロンダリング対策が徹底できない、と言われています。なにより、同姓を強制して、(多くの場合)女性を苦しめているのは、最早、日本だけです。
 見通しが?になってきたからといって、しゅん..となって、「もう、だめだ..」と私たちが諦めると思ったら、大間違いです。もしかしたら、自分たちには間に合わないかもしれませんが、後進の女性や、私たちの娘たちのために、制度改正を実現すべく、いろんな場所で集会を開いて訴えたり、シンポジウムで意見を同じくする皆さんと連帯して、より一層頑張ります。
 ところで、パブコメの期間、3週間って短すぎませんか?

法律相談Q&A

法律相談Q&A

法律相談
予約はこちらに

お気軽にお問合せください

092-721-1211

※お掛け間違いのないようにお願いします。

平日9:30~17:00
土曜9:30~12:00


平日、土曜日午前中
毎日実施中

初回法律相談予約専用Web仮予約はこちら

カテゴリー

弁護士紹介深堀 寿美

深堀寿美 弁護士

弁護士登録:1993年

相談者・依頼者が困っておられる内容の原因究明に務め、解決に必要な法的手続その他行政手続のご提案等ができるよう務めます。何でもご相談下さい。