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弁護士記事山本 一行:その他

2026年4月6日(月)

拙い理解かもしれませんが「マルクス・リバイバル」

山本 一行

マルクス・リバイバルという本を読みました。600頁にわたって現代のマルクス研究者がいろんなテーマを論じているものです。いわゆる「新自由主義」の世の中で貧富の差が激しくなっていることもあって、マルクスが見直されていることを受けての本です。新しい問題である環境、ジェンダー、教育や芸術、強国支配の国際関係などについての議論にも多くの頁が割かれています。

せっかく苦労して読んだのだし、実はこの本の以前にも少し勉強をしてきたので、拙い理解だとは思いますが、この本の読後の関心に従って、以下に自分の言葉でものを言ってみることにします。

環境問題などについて言えば、そもそもことは単純です。今の世の中で生産されるものはほとんど全て「商品」です。これは自分がかかわって生活に必要なものを判断して作るのではなく、「売れるものを作る」ということでしょう。本当はそれほど必要でないものでも、「売れる」ことが作り出されたりもします。売れれば儲かるのですから、それを目指す行為は際限なく広がります。「交換価値」「剰余価値」をめざす資本はとどまるところを知らないのです。これでは環境破壊や資源の枯渇がやってくるのは当然です。また、強大な国が無限に価値を追求する場合には、他国を侵略することもいとわないようになります。

また、「商品」中心の社会であることから、いろんな分析をすることが可能になります。「交換価値」を生み出す労働はきわめて抽象的になります。必要なのは「職人」ではなく、何を作る企業にいても、商品の直接の作成でなく管理などの部門や流通部門にいても、力を発揮できる労働者が有能とされます。また現在の大工場、大企業の力をもってすれば、労働者の生活に必要なものは短時間の労働で作り出すことができます。それ以上に働いている時間は「剰余価値」と呼ばれるものを生み出し、これは生活に必要な賃金に反映させないことができ、ますます労働者と関係のない労働になってしまうのです。これらのことから、人間らしさを発揮するような労働から、抽象的な価値を生み出す労働へと、現実の労働が離れていきます(疎外)。

この基本的な社会関係が生活関係全般に影響を与え、「剰余価値」の追求のために人間性を忘れるという事態をもたらします。ジェンダーの問題や、ゆがん)だ教育、危険なほどのテクノロジーの発達などの原因にもなるのでしょう(「マルクス・リバイバル」のこれらの章では、当時の情勢からくるマルクスの限界も強調されています)。

マルクスが好きでも、なんとなく嫌いでも、マルクスを解説したり紹介したりする本は、一度読めばたいへん面白く感じることができると思います。「抽象的労働」「交換価値」などで多くのことを説明する論理の展開も魅力です(頭の体操にもなりますよ)。また、子育て(教育)や音楽や映画(芸術)、ジェンダーなどに関心がある方が、今の社会とマルクス当時の社会を比べて、マルクスの何がどう足りず、どう発展させる必要があるのかを考えるのも楽しいと思います。

マルクスをお勧めします。