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弁護士記事山本 一行:その他

2026年6月15日(月)

核抑止論の学習会に参加しました

山本 一行

 自由法曹団という弁護士団体が開催した「核抑止論」についての勉強会にWEBで参加しました。講師は長崎大学核兵器研究センターの教授です。

 核兵器は使用されれば悲惨な被害が生じます。ヒロシマ、ナガサキでそれは誰の目にも明らかになりました。しかし、そのことを訴えるだけでは、核抑止論者(核兵器をもつと、相手の国の核兵器使用を抑止できる)への反論としては十分でないと言うのです。核抑止論は、悲惨な被害を生む核兵器を使わせないために、核兵器を保有するという論理だからです。

 最初にこの問題提起を聞いた時には、たいへん違和感がありました。非人道的な大きな被害を生み出せるものだから、抑止のためにそれを持つというのは、めちゃくちゃな論理であり「そんな馬鹿な」で片付くのではないかと思ったのです。

 しかし、さすが国際会議の経験があり、抑止論者と議論をしてきて、研究を深められた講師です。軍備を増強して行ってその結果が戦争だったという歴史的経緯。ひとたび核兵器が使用された場合の被害が大きすぎて想定不能だし、回復の途も想定不能であること。それは核兵器の限定的使用でも同様であること。従って軍事的目的達成の必要性との比較考量も不可能なこと。などなどのことから、核兵器を持つ必要性をだれも説明できず、だれも責任をとることができないのです。「説明」「責任」の論理を中心に核抑止論に対峙して議論を進められました。

 非人道的な悲惨な被害を生む兵器だからこれを持って抑止するというのは「馬鹿な」論理だという、私の当初の思いは単なる直観でしかなかったのでしょう。講義は、それを正確に、論理的に基礎づけるものでした。悲惨さを訴えるのは当然の前提にして、それを論争に対峙するために鍛え上げるという科学者の発想と、そのために考えをどこまでも深めるという研究が必要であることがよくわかった学習会でした。