弁護士記事

2025年10月14日(火)

更地に住所はないの?―意外と知らない「住所」について

1 はじめに

 私達に身近な「住所」ですが、皆さんは、「住所」に関する法律があることをご存じでしょうか?また、更地の「住所」について考えたことはあるでしょうか?

 今回は、身近なのに意外と知らない「住所」について、お話したいと思います。

2 住所に関する法律があります

 「住所」については、「民法」に規定があり「各人の生活の本拠地を住所とする。」と規定されています(民法第22条)。そして、多くの場合は「住所」は住居表示で表しており、住居表示については住居表示に関する法律で規定されていますので、住居表示に関する法律も「住所」についての法律だといえます。

3 住居表示とは

 住居表示は、市町村によって郵便物配達などの利便性のために建物につけられるものです。つまり、私たちが「住所」と言っているものは、多くの場合はその建物のことを指します。なお、建物を建て替えた場合、旧建物の住居表示は一旦無くなり、新建物の住居表示を新しく付ける必要があります。

 「住所」が建物に付けられる住居表示で表されるとすると、更地には「住所」がないということになるのでしょうか。

 結論からいいますと、更地にも「住所」はあります。確かに、更地には建物がないため住居表示はありません。その代わり、更地の「住所」は、住居表示ではなく「地番」で表します。

4 「地番」とは

 「地番」とは、法務局が不動産登記のために土地一筆ごとの割り振った固有の番号です。「地番」は、土地の所有権や税金の管理のために使われています。皆さんが目にするものでは、固定資産税の納税通知書に「地番」が使われています。また、土地の登記事項証明書や公課証明書も「地番」が使われています。

 なお、土地の「地番」と同様に、法務局が建物を特定するために登記にする固有の番号を「家屋番号」といいます。

5 「住所」が住居表示でない地域があります

 「住所」は住居表示で表されることが多いのですが、住居表示は、必ずしもすべての地域で実施されているわけではありません。また、住居表示が実施されていても「住所」として住居表示が使われていない地域もあります。これらの地域では、更地でない場合であっても地番がそのまま「住所」として使われています。

 私達が、「住所」と「地番」の違いがはっきりしていないのは、このためだと私は思っています(少なくとも、以前の私はそうでした。)。

6 最後に

 以上の様に、「住所」は、多くの場合は建物につけられた住居表示で表しますが、地域によっては土地につけられた「地番」で表すことがあります。そして、住居表示が使われている地域でも、更地の住所は「地番」が使われます。

 また、多くの場合に「住所」として用いられる住居表示は、市町村などによって付けられますが、特定の地域や更地の「住所」として用いられる「地番」は、法務局によって付けられるといった違いがあります。

 私達に身近な「住所」ですが、意外と知らないことが多いと思いませんか。

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弁護士紹介河西 龍介

河西龍介 弁護士

弁護士登録:2019年

大型書店や不動産鑑定評価・補償コンサルタント会社での勤務を経て、弁護士になりました。自分の経験も活かしながら、皆様の日々の生活が少しでも楽しく豊かなものになるような活動を心がけています。