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弁護士記事毛利 倫:その他

2026年5月20日(水)

昔借りた借金の請求がきたら、時効援用を!

毛利 倫

Q 20年以上前に借りた借金について、突然見ず知らずの会社から請求書が送られてきました。借りたのは別の消費者金融会社で、借りた元金は10万円だったのに、利息や遅延損害金がついて総額で250万円以上の請求となっています。借りてしばらくは返済していましたが、その後、収入が減り返済ができなくなりました。この消費者金融会社から借りたのはその一度きりで、もう20年近く一切返済をしていません。「解決に向けた相談のご連絡をしてくれれば分割支払いなどにも柔軟に対応しますが、もしご連絡なく放置したら法的対応をとる」と書かれています。どうしたらいいですか。

A マチ弁の弁護士をしていると、こうした法律相談は、わりとよくあります。

 請求してきた「見ず知らずの会社」は、相談者が実際に借りた別の消費者金融会社から債権の譲渡(債権を購入したということ)を受けて請求書を送ってきたものと思われます。

 こうした相談をしてくる方のほとんどは、もちろんこんな金額を一括で返済することは不可能であり、相手方と分割払いの交渉をしなければならないのか、それとも自己破産をしなければならないのか、どう対応すべきかがわからず、とりあえず連絡してみようかと考える人もいると思います。

 こうした相当以前に借りた借金の請求が来た場合、まず一番に検討すべきは消滅時効を援用することです。

 そもそも、消費者金融会社や信販会社など貸金業者(以下「債権者」といいます)から借りた昔の借金は、債権者が一定期間権利を行使しないと消滅する消滅時効という制度によって、支払いを免れることができる場合があります。一定期間とは、2020年4月1日以前の借金については、債権者が「権利を行使することができる時」から5年間であり、同日以降の借金については、債権者が「権利を行使することができることを知った時」から5年間ですが、債権者が貸金業者の場合、この二つの時期は一致するので、いずれにしても5年間です。

 では、5年間の起算点、すなわち消滅時効の起算点はいつかというと、債権者が権利を行使できるのは、借金の返済期限が到来した時ですので、返済期限からということになります。

 貸金業者との金銭消費貸借契約の場合、分割払いで返済する契約が一般的ですが、通常「期限の利益喪失条項」といって、支払いの遅延等があった場合に期限の利益を失い、残債務を一括で返済しなければならなくなるという条項があるので、支払いの遅延等がある場合には、それにより期限の利益を失い残債務を一括で返済しなければならなくなった時点が消滅時効の起算点ということになります。

 あまり厳密に考えなければ、貸金業者との取引が終了した時点、すなわち、当該業者から借り入れや返済をした最後の時点プラスひと月程度と考えていれば大丈夫でしょう。

 そうすると、今回のご質問については、「この消費者金融会社から借りたのはその一度きりで、もう20年近く一切返済をしていません」というのであれば、最終の取引時点プラスひと月程度から5年間以上経過していることは明らかですので、消滅時効が完成していると思われます。

 そこで、相談者は、相手方の会社に対し、「消滅時効が完成しているので、借金を支払う義務は消滅している」という消滅時効の利益を受けるという意思表示を示す書面を送ることで、借金を免れることができます。この消滅時効を主張するという意思表示をすることを「時効の援用」といいます。

 もっとも、貸金業者や債権譲渡を受けた債権回収会社は、本人からの書面だと直ちに消滅時効として対応しないという話も聞いたことがあるので、一定の費用はかかるものの、確実に借金を消滅させるためには、弁護士に相談し、弁護士名義の内容証明郵便で書面を送ることが安心かもしれません。

 いずれにしても、一番いけないのは、相手方の会社の誘いに乗って、「解決に向けた相談のご連絡」をしてしまうことです。もし、相手方の会社に一部でも分割支払いをしてしまったり、借金の存在を承認してしまったりすると、せっかく完成していた消滅時効が更新(リセット)され、消滅時効が援用できなくなりますので、十分ご注意ください。こうした請求書がきた場合には、お気軽に当事務所にご相談下さい。