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原発:原発なくそう!九州玄海訴訟

2013年6月7日(金)

5月31日 原発訴訟での弁論

弁護士:毛利 倫

原告が6000人を超える全国最大規模の原発差し止め訴訟である「原発なくそう!九州玄海訴訟」は、去る5月31日、第5回の口頭弁論がありました。この期日に、弁護団は、十数本の書面を提出し、国が原発政策を推進してきた張本人であり、国こそ被告であること、7月に出る国の新規性基準が原発を再稼働をさせるための基準にすぎないこと、原発の発電コストは安いどころか全電源の中で一番高いことなどを主張しました。私も、このうち原発コストの問題について書面を担当し、当日の法廷でも10分程度、書面の内容を訴えましたので、以下その内容をご報告いたします。なお、原告募集は随時受け付けていますので、いつでも事務所の弁護士や事務局にお声をかけてください。

第1 はじめに

被告九州電力は、原発の公共性ないし公益上の必要性に関し、原発はエネルギーの安定供給、環境保全の要請、経済効率性の点で必要性が認められると主張しています。しかし、これらは、全く根拠のないでたらめな主張です。

原告らは、原発の公共性ないし公益上の必要性に関し、

  1. 原発という発電方法をとらなくとも電力需要を賄うことは十分に可能であること
  2. 原発のコストが安いというのは全くのウソであり、原発は全ての電源のうち最もコストが高いこと
  3. 原発が環境保全の機能を果たすものではないこと

の各点について主張する予定です。 

今回、提出した準備書面13は、このうち、原発がなくても電気は足りるということについて主張し、準備書面14は、原発のコストが高く、原発に経済効率性はないことについて主張するものです。

そして、原発が環境保全の機能を果たすものではないことについては、次回以降に主張する予定です。

第2 原発なくても電気は足りる!(準備書面13)

  1. まず、準備書面13の内容です。

    九州電力は、昨年夏を前に、原発を稼働させないと、電気が足りなくなるというキャンペーンを盛んに喧伝しました。しかし、原告らは、昨年提出した準備書面1と準備書面4において、原発がなくても電力不足は生じず、九州電力のキャンペーンは、全く根拠のない需給予測に基づいて国民を欺き、原発の再稼働を図るための策略にすぎないことを指摘してきました。
    ところが、被告九州電力は、性懲りもなく、今年の夏もまた厳しい需給状況になることが予想されるとして、原発再稼働の必要性を訴え続けています。

    準備書面13では、改めて、原発がなくても電気は足りることを確認するとともに、電気が足りないキャンペーンの問題性を具体的に指摘します。

  2. まず、すでに過ぎた昨年の夏と冬の客観的な結果についてですが、実際の電力需要は九州電力の予測値を大きく下回り、電力不足は全く生じませんでした。

    この間、九州電力は、「でんき予報」なるものをテレビや新聞でことあるごとに発表し、国民を、電力が不足するのではないかという不安な状態に陥れ続けました。
    しかしながら、本当は、「でんき予報」の予想使用率の分母である「ピーク時供給力」とは、発電設備量ではなく、「電力需要のピークにあわせて出力調整された供給力」という意味なのです。つまり「でんき予報」は、予想使用率が常に高い値を記録するよう最初から仕組まれたものだったのです。

    このほかにも、九州電力は、電力需要がピークを迎える時間は、昼間の僅か数時間にすぎないという点についてほとんど説明せず、また、企業や家庭からの苦情は大きく取り上げる一方で、今後も節電継続は可能だと考えている企業が数多く存在する事実は伝えないなど、意図的な偏りのある広報が繰り返されました。

  3. そうした国民を欺く虚偽のキャンペーンを続けたものの、厳然たる事実として電力不足が全く生じなかったため、九州電力は、とうとう今年の夏については、原発の再稼働がなくとも、安定供給に最低限必要な電力は何とか確保できる見通しだと発表せざるをえませんでした。

    もっとも、今年の夏の電力需要予測についても、節電効果を昨年夏の8割と過小に見積もるなど問題があり、例年通りの過大な予測となっています。

    九州の多くの企業が「節電取組を継続することは可能」と考えていることや、5月から電気料金が値上げされたことを踏まえれば、今年の夏の節電効果が昨年夏の8割にまで落ち込むとは到底考えられません。

  4. 以上述べてきたように、原発がなくても電気は足りるということは、既に決着がついた問題なのです。それにもかかわらず、九州電力は、原発再稼働の方向へ世論を誘導するために、なお電力不足のおそれを煽ることは、極めて問題であり、公共的企業としての資質がないと言わざるを得ません。

第2 原発コストは馬鹿高く、原発に経済性はない!(準備書面14)

  1. 続いて準備書面14の内容ですが、この書面で主張していることはただひとつ、原発のコストは他の電源より高く、原発に経済性はないということです。

    我が国で原子力発電が推進されてきた大きな一つの根拠に、原発の経済的優位性がありました。九州電力や国の資料を見ると、至るところに「経済性に優れた原子力」といった表現が見られます。

  2. 福島第一原発事故が起きるまで、原発が経済性に優れると言われる時、決まっていつも使われてきた国や電力会社の数値では、原子力の発電コストは、1キロワット時あたり5.3円でした。これは、主要な電源中最も安い数値です。

    しかし、発電コストと一口で言っても、コストを計算するにあたり、どのような項目の費用を含めるのか、あるいは計算方法をどうするのかといった点で、結果は全く異なってきます。

    先ほどのコスト計算では、当時、運転年数が40年を超えた原発は日本に1基もなく、また設備利用率が全国平均で80パーセントを超えたのはわずか数年間しかないにもかかわらず、原発のコストを安く見せかけるため、40年間にわたり設備利用率80パーセントで稼働させ続けるという非現実的な想定でコスト計算をしていました。

    また、コストに含める費用項目も、直接発電に要する費用だけしか含めていませんでした。

    しかし、原発は、多くの国民が知らない中で、国が自治体に莫大な金を交付して立地を推進し、また将来の発電技術開発のために国が巨費を投じて初めて成り立っているのが実態であり、こうしたすべて国民の税金によって賄われている費用は、発電コストの計算に当然含めるべきです。

    また、今回の福島第一原発事故が現実化した以上、将来大規模事故が起きた場合に生じる損害賠償費用や除染費用なども当然コスト計算に含まれるべきです。

    こうしたコストは、原発の所有者である電力会社が負担せず、最終的に国民が負担するものであり「社会的コスト」と呼ばれていますが、福島事故以前の国のコスト計算からは、こうした社会的コストはあえて除かれ、国や電力会社は、原発コストは最も安いという虚偽の風説を流布してきたのです。

  3. しかし、福島第一原発事故を受けて、このまやかしの原発コストの問題についても批判が強まり、国としても原発コストの見直しを余儀なくされました。 

    国は、有識者による検証委員会を設置し、社会的コストを初めて加えて原発のコスト計算をした結果、下限の数値、つまり、どう少なく見積もってもこれ以下にはなり得ないという数値として1キロワット時あたり8.9円と発表しました。逆に言うと、上限の数値は、いったいいくらになるか算定不能だというのです。

    この上限値が算定不能という点は、ある意味、原発のコストの本質を表しています。

    原発は、他の電源と決定的に違い、発電後の使用済み核燃料の処分などにかかるバックエンド費用がいったいいくらかかるのか全くわかりません。

    さらに、大規模事故を起こした場合、被害がどれだけ広がるのかも、正確にはよくわからず、損害額が天文学的数値となるとしか言えないからです。

    しかし、国の新たなコスト試算の下限の数値も、従来のコスト試算より5割以上高くなったとはいえ、国の財政支出やバックエンド費用、事故が起きた場合の費用などが明らかに過小に見積もられていて、国が、なお原発コストを真実より安く見せようという意図が感じられます。

  4. では、より正確な原発のコストはいったいいくらなのか。

    (1)まず、国の財政支出として、特別会計から立地対策や核燃料サイクル事業等の研究開発への支出、さらに一般会計から原子力関連事業への支出などがあり、平成24年度の予算のうち、明らかな原子力関連の財政支出だけで年間3500億円を超えています。

    (2)次に、バックエンド費用について、国は、核燃料サイクル事業にかかる費用として18兆8000億円という数値を出していますが、この費用は過小見積もりも甚だしいものです。ある経済誌の試算では74兆円に達するとしています。少なくとも国の試算の数倍はかかることは確実です。

    (3)一番問題の多い大規模事故が発生した場合の損害について、国は、損害額の算定は不能だとしています。
    しかし、国が、かつて行った大規模事故を想定した損害額の試算では、最悪の場合、被害総額は人的損害を除く物的損害だけで3兆7000億円に達するとしています。この金額は、当時の国の一般会計予算額である1兆4000億円の約2.6倍にも当たり、原発は、まさに国家経済の破綻すら引き起こしかねないとてつもない巨額の被害を発生させるのです。

    なお、国は、このとてつもない被害額を隠蔽するため、原発事故の被害予測をしたこと自体を否定し続け、調査結果を40年間も公開しませんでした。被害額の試算を隠蔽し、原発の安全性だけをアピールして原発建設を推進してきた国の政策は、犯罪的とも言いうるもので悪質極まりないものです。

    さらに、昨年再稼働をした大飯原発3号機の大規模事故を想定した関西学院大学の朴勝俊(パク・スンジュン)准教授の試算によれば、平均損害額は62兆1000億円、最悪の場合の被害総額は279兆8000億円にも達するということです。
    このほか、ドイツのシンクタンクの試算では、損害額は731兆円に達し、結局、原発の無限責任の保険は成り立ち得ないとしています。

    いずれにしても、原発が福島第一原発事故のような大規模事故を起こした場合、損害額は天文学的数値となることは確実です。

  5. 原発コストの専門家であり、国の検証委員会の委員でもある大島堅一立命館大学教授の試算をもとに、事故発生による損害を加えたコスト計算をすると、原発のコストは、1キロワット時あたり30円から90円程度になり、全電源中でダントツに高いと言えます。
    しかも、ひとたび大規模事故が起こった場合の被害の甚大さとリスクの高さゆえに、その被害の賠償を無限責任でカバーする民間の保険すら成立しないのです。

    結論として、経済性の側面から考えれば、原発は、そもそも発電方法として存在させること自体が許されないほどの高コストであり、原発に経済性があるという主張は完全に破綻しているのです。

  6. それでも、国や電力会社が原発を推進しようとするのは、その経済的負担やリスクは、すべて最終的には税金や電気料金の形で国民に転嫁でき、利益だけは電力会社や原子力村と呼ばれる関連企業等が得られる構造や料金制度ができあがっているからです。
    九州電力の電気料金値上げも、当面の一時的な燃料費の増加よりも、こうした高コストの原発を維持存続するための莫大なコストを料金原価に含めていることこそが根本的な原因であり、原発を電源の中核に位置づけるという誤った企業の経営方針のツケが、最終的に国民に押しつけられているのです。
  7. 以上のとおり、原発は、全電源中最もコストが高く、その維持存続にかかる現在および将来の莫大な経済的負担をどこまでも国民に強いるだけのものであって、原子力発電に経済性は全く存在しないことを、裁判所には、十分ご理解いただきたいと思います。

以 上

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