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労働者の権利:労働事件

2013年6月22日(土)

暮らしの法律講座第3回
「パワハラ・セクハラへの対応」

弁護士:星野 圭

福岡第一法律事務所・福岡第一法律事務所日本共産党後援会共催
暮らしの法律講座(第3回)

第2部(労働連続講座第3回)

『セクハラ・パワハラへの対応』

弁護士 星野 圭

1 ハラスメントに関する相談は年々増えている!?

(1)いじめ・嫌がらせに関する労働相談の実態
  • 総合労働相談件数 106万7210件
    →その内、民事上の個別労働紛争相談件数 25万4719件
    厚生労働省「平成24年度個別労働紛争解決制度施行状況」より)
  • 労働局、労働基準監督署の総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談件数のトップは「いじめ・嫌がらせ」=51、670件。増加傾向。
  • ①いじめ・嫌がらせ、②解雇、③労働条件の引下げがトップ3(合計41.7%)
(2)セクハラの実態
  • 平成23年度の全国相談件数は12、228件(厚生労働省・労働局雇用均等室)
(3)ハラスメントの特徴
  • ハラスメントは、就労形態(正社員、派遣、パート等)を問わない問題。
  • ハラスメントは、上下関係、同僚同士、男女を問わず発生しうる問題。
  • 特にパワハラは、退職勧奨・退職強要、解雇との関連で発生する場合も多い。不合理なリストラを拒否したことへの嫌がらせという事例が多い。

2 パワー・ハラスメント(パワハラ)とは何か

(1) パワー・ハラスメントとは

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。

(厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」)

  1. 暴行・傷害(身体的な攻撃)
  2. 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
  3. 隔離・仲間はずれ・無視(人間関係からの切り離し)
  4. 業務上明らかに過大な要求・仕事の妨害
  5. 業務上合理性のない過小な要求
  6. 私的なことへの過度な立ち入り
(2)パワハラの相談例(円卓会議HPより抜粋)
  1. 身体的な攻撃
    • 胸ぐらをつかむ、髪を引っ張る、蹴られる、頭を小突かれる、火のついたタバコを投げられる。
  2. 精神的な攻撃 → 相談件数は圧倒的に多い
    • ミスについて、皆の前で、大声で叱責される。
    • 人格を否定されるようなことを言われる。お前が辞めれば改善効果が300万出るなど会議の席で言われた。
  3. 過大な要求 → 無理難題を押し付け、解雇や降格の理由とする。
    • 一人では無理だと分かっている仕事を一人でやらされる。
    • 休日出勤をしても終わらない量の業務を強要される。
  4. 過小な要求 → いわゆるリストラ部屋の問題もある。
    • 営業なのに、買い物、倉庫整理などを強要される。
  5. プライバシー侵害
    • プライベートをしつこく聞かれる。既婚者であるのに、しつこく交際を迫ってくる。
(3)パワハラに関連する相談がある職場に共通する特徴
  • 「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」51.1%
  • 「正社員や正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場」21.9%
  • 「残業が多い、休みが取りにくい・失敗が許されない、失敗への許容度が低い」19.8%

厚生労働省委託調査
「平成24年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」

3 使用者にはパワハラを防止する義務がある!

(1)使用者の義務(労働契約上の義務)
  • 職場環境配慮義務
    (労契法5条。福岡セクハラ事件・福岡地裁判決H4.4.16)
  • 職場のいじめ防止義務
    (誠昇会北本共済病院事件・さいたま地裁判決H16.9.24)
(2)使用者が取るべき職場のいじめ防止義務の具体的措置内容
  1. いじめの事実の有無・内容についての迅速かつ積極的な調査、
  2. いじめの制止などの防止策、
  3. 被害者への謝罪、
  4. 労働者の異動など加害者関係者に対する適切な措置など。
(3)パワハラの判断基準
  1. 当該行為の業務上の必要性、
  2. 社会的に見て不当な動機・目的の有無、
  3. 労働者の被る不利益の程度等から、社会通念に照らして判断する。
U衣料品店事件

(名古屋地裁判決H18.9.29)

原告Xは、平成9年、株式会社Fリテイリングに入社。翌年から店長代行として勤務。事件は店長代行になってから1か月後に発生。勤務中、仕事態度に関する言い争いから、Xは、店長Yから、胸倉を掴んで頭・背中・腰を板壁に叩きつけ、頭突きをするなどの暴行を受け、加療約4週間の要する頚部挫傷の傷害を負った。

以来、Xは、会社に行ったときには、冷や汗、足がすくむ、恐怖があり、会社に行かないときは、頭痛、吐き気、めまいなどがある状態になった。

Yは、「ぶち殺そうかお前」などとも発言し、その結果、Xは、会社がXに危害を加えようとしているという被害妄想を焦点とする妄想性障害に罹患した。

→ 裁判所:治療費11万、休業損害1904万、慰謝料500万円の合計で2415万円を認定した上で、被告の妄想性障害の影響に関して60%減額とした。労災の休業補償給付との調整があり、最終的な認容額は224万円。

4 セクシャル・ハラスメント(セクハラ)とは何か

(1)セクシャル・ハラスメントとは~2種類のセクハラ
① 対価型セクハラ

職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、更新拒否、降格、減給などの不利益を受けること。

② 環境型セクハラ

性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなり、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じること。

男女雇用機会均等法11条1項

「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」

ただし、企業の国に対する義務であって、その義務違反を根拠に労働者が何か請求できるわけではない。

(2)セクハラの相談例

(厚生労働省HP・雇用均等室HP参照)

なお、以下は、損害賠償請求の対象とまでは言えないものも含まれる。

  • 社長から食事に誘われたり、プライベートなことを執拗に聞かれる。
  • 上司から勤務時間終了後に飲酒に誘われ、性的な要求をされた。
  • 社長から事業所に2人で泊まるように言われるなどされ、ストレスにより体調を崩した。
  • 腰を触るなどされ、ストレスにより体調を崩した。
  • 上司が肩や髪に触ったりする。
  • 任意参加の歓迎会の酒席で、男性のとなりに座ることやデュエット、お酌などを強要される。
  • 職場で顔をあわせるたびに、「子どもはまだか」と繰り返したずねられる。
  • 派遣先の男性社員が身体に触れてこようとする。派遣先・派遣元に相談したら派遣切りされるのではないかと心配。
  • 店長からセクハラを受け、会社の相談窓口に相談したところ、店長から退職届けを出せと言われた。
  • 男性が集まると、女性のいる前で性的な会話をすることがある。
  • 休憩時間などにヌード雑誌をこれ見よがしに読む男性がいる。
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