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退職・解雇の基礎知識

普通解雇と懲戒解雇の違い

普通解雇と懲戒解雇はどのように違うのですか。

普通解雇と懲戒解雇

別の項目でも触れましたが、労働者の行為・態度を理由とする解雇には、「普通解雇(通常解雇)」と「懲戒解雇」の2種類があります。この内、普通解雇は、契約法上の解約(売買契約で言えば解除のようなもの)として位置づけられます。これに対して懲戒解雇とは、企業秩序違反に対する制裁としての懲戒処分の中で最も重たい処分としてなされるものであり、両者は本来異質なものです。ただ、現実には、この両者の理論上の違いは余り意識されることなく、普通解雇は懲戒解雇よりも一段軽い制裁であると位置づけられる場合が多いと言えます。

普通解雇と懲戒解雇の実際上の違いを言えば、懲戒解雇の場合、通常、退職金が支払われないという不利益と懲戒処分がなされたという不名誉な経歴が残るという点が挙げられます。

懲戒解雇の要件

懲戒解雇も懲戒処分の一種ですから、懲戒についての制限法理に従がってなされなければ無効となります。
要件としては、次のものが挙げられます。

  1. 懲戒解雇をなすためには、「あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」とされています(フジ興産事件・最高裁平成15年10月10日判決・労働判例861号5頁)
  2. 労働者に理由の告知・弁明の機会が与えられなければなりません。
  3. 解雇事由としては、普通解雇の場合よりもより高度なもの、すなわち懲戒処分という大きな不利益を与えてもやむを得ない事由が求められます。

そして、当該ケースにおいて懲戒解雇が、労働者の行為の性質・態様その他の諸事情に照らして見たとき、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当な範囲を超えている場合には、懲戒権の濫用として無効となります(労働契約法15条)。

この点、懲戒権の濫用と解雇権の濫用との関係をどう見るべきが疑問に思う方もおられると思いますが、解雇の側面から見れば解雇権の濫用となり、懲戒権の側面から見れば懲戒権の濫用ということになると理解すればいいと思います。

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