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2013年7月29日(月)

ハーグ条約国内実施法6月12日成立!

弁護士:深堀 寿美

「ハーグ条約ってハーグ不戦条約?」と言いたくなりますが、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」のことです。1980年にハーグ国際私法会議で採択され、1983年に発効し、2013年6月現在、締約国はアメリカ、EU全加盟国、タイ、シンガポール、韓国など90か国に達し、G8諸国中未締約は日本だけだそうです。条約締結についても国会で承認が得られており、今回、条約の国内実施法も整備し、年内にも加盟の手続きに進むことになりそうです。

この条約は、① 16歳未満の子どもが、② 子どもが条約締約国の常居所地国にいるときに連れ去り・留置され、③ 日本に連れてこられて、④ 申立人(子どもを連れ去られた親)の監護権を侵害しているときに、当該常居所地国へ返還する、というものです。国際結婚の破綻例が増加したことに伴い整備の必要性が求められました。子どものことを考えたら、子の監護権(親権)に関する手続きは、子がそれまで居住していた国で行うことが望ましいから、まずは、子どもを常居所地国へ戻す、という基本的考えに基づいています。なので、子どもを返還しろ、と言われても、返還することが子どものためにならない場合、ア)日本に来て1年経って新たな環境に適応した、イ)申立人は監護権を行使していなかったか連れ去りに同意した、ウ)子が返還されることを拒んだり、戻すと子どもの心身に害悪が及びうる場合、などには、戻さないということも考えられます。返還の申立は、東京と大阪の家庭裁判所が受け付け、判断を行う決まりになっています。

日本国内婚では、離婚の際に、一方の親が、自分が子どもを連れてでないと子どもが十分な監護を受けられない等の理由で子どもを連れて実家や新しい居住場所へ移ることも多く、条約締結により、このような場合にまで「子が元居たところへ戻るのが子の利益」と裁判所が形式的一律的に考えるようになるのではないか、という心配もされているところではあります。

福岡では、お隣の韓国の方と婚姻される場合も多く、韓国も当該条約の締約国ですので、その婚姻が破綻したときの「子どもの連れ去り」問題がこの条約に則って判断されることにもなりそうです。しかるにその場合、連れ去った親も、連れ去られた親も福岡に居住したこともあった、知り合いの弁護士も双方福岡県弁護士会だ、けれど、審理する家庭裁判所は、東京か大阪、になってしまうんですね。わかりやすいけど、不便かもしれません。

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