11月9日、九州建設アスベスト訴訟2陣が福岡高裁で結審しました。1陣訴訟や全国の訴訟での勝利の結果、国は謝罪をして基金を作り裁判を起こすまでもなく補償をする制度を作りました。しかし、アスベスト建材の製造、販売企業(A&AMやニチアス、ノザワ、太平洋セメント、MMKなど)は基金への参加に応じず、訴訟で責任を争っているのです。監督の責任を問われた国が謝罪をして解決をしようとしているのに、危険な建材をまき散らした企業が争い続けるのは、どう考えてもおかしなことです。
訴訟は今後、和解を進めることが予定されています。これまで各地で高裁段階での和解が成立しており、この訴訟でも和解成立の可能性は大きいと考えています。被害者24名中、23名がすでに亡くなり、ご遺族の配偶者もお年を召されています。この訴訟で早期に和解を成立させる必要はきわめて大きいのです。しかし、それだけではありません。企業に責任があることはこれまでの訴訟から明らかですから、それを認めさせて基金に参加させ、裁判を起こさなくても救済されるようにする必要があります。そのために責任を厳しく認めて、企業の反論をことごとく否定する和解案を裁判所に出させて、その和解を成立させることが必要です。そのために弁護団、原告団、支援は最後まで力を尽くして参ります。
高裁結審の直前であるこの10月には「なくせじん肺全国キャラバン」が行われました。今年で37回を迎えるこの取り組みは、これまで大きな成果をあげてきました。石炭じん肺の分野では、国に訴訟を起こせば判決を待たずに和解をするという司法解決システムが作られ、企業は訴訟を起こさずに賠償を行うというルールができています。工場で被災したアスベストについては、同じく国に対する司法解決システムができています。先に述べた建設アスベストの国の基金も、訴訟での勝訴とともに、キャラバンをはじめとする運動による成果です。これらの被害を受けられた方は、いっかんして被害救済に取り組み、解決の基礎を作るのに寄与してきた当事務所(各地弁護団)へご相談ください。
じん肺については、造船(三菱重工長崎造船への請求)や、築炉(ヤマサキへの請求)などが続いているところですが、この間のキャラバンの重点はアスベスト被害に移ってきています。特にアスベストを使用している建物の解体は今後ピークを迎えると予想されています。それに伴って、残念ながら患者発生も今後も増えると言われています。安全に建物を解体するために、行政による規制、アスベストの危険性を広く知らせて費用がかかっても対策をとるということの確保、そのための補助制度の充実などが切実に必要です。解体作業者や周辺住民を危険に晒し続けるわけにはいきません。
キャラバンでは、福岡でも労働局、福岡県、福岡市などへ、また大牟田市や荒尾市、大牟田や玉名の労働基準監督署への要請に取り組みました。また東京ではいくつかの企業や厚労省、環境省、経産省(建材メーカーを所管)、国交省への要請を行いました。
毎年の要請によって少しづつですが進展をしています。当初は、建物解体についての届出内容を根拠なく信用していた自治体も、近年では届出の内容(アスベストの有無が正しく届け出られているか、散水や手ばらしなどの対策がとられているか)などをチェックするようになっています。私たちも、韓国の進んだ規制を学んだり、学習会を繰り返したりして問題を深めてきました。まだまだ予想されている建物解体の半分や3分の1ほどしか届出がされていないなどの問題が残っています。解体に伴うアスベスト調査や対策をとるための補助制度も不十分なままで、周知不足もあって利用も多くありません。今後も取り組みを強めます。なお、お近くに解体現場をみつけたら、掲示されている看板を確認し、アスベストありとなっているか(なしとなっていて、何か粉じんが飛散していないか)、ありとなっている場合に粉じんの飛散は防げているか、確かめるようにしてみませんか。心配を感じたら、お住いの自治体に通報するようにいたしましょう。