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弁護士記事河西 龍介:その他

2026年9月7日(月)

いざ相続となったときに気を付けるべきこと

河西 龍介

1 はじめに

 父親が亡くなり、母親と子2人が相続しました。この場合、相続をした人達は、どのような手続きをすべきでしょうか。今回は、いざ相続となったときについてのお話しをします。

2 相続直後の状況

 相続人が2人以上いる場合(共同相続人となる場合)は、遺産のうち、内容を均等または割合に応じて分けられる債権(例えば貸金債権や損害賠償請求権等)は、原則として、相続が始まったときに法定相続分(法律で決まった割合)で当然に分割されます。そのため、次に説明する遺産分割を行わなくても、各相続人が自分の割合分を単独で請求できます。

 一方で、不動産や自動車等といった当然には分けられない財産は、遺産分割がなされるまでは共有状態となります。

 なお、預貯金は、かつては可分債権とされ、遺産分割をしなくても当然に分割されるとされていましたが、平成28年に最高裁判所の判例変更があり、預貯金は遺産分割の対象となりました。そのため、現在は、各相続人が預貯金を引き出すためには、遺産分割を行う必要があります。

 上記のケースでは、父親名義の預貯金や不動産がある場合には、遺産分割を行う必要があるということになります。

3 遺産分割

 遺産分割とは、共同相続人の共有状態にある遺産について、分割して、各共同相続人に取得させる手続きです。個々の遺産について、誰が何を取得するかを確定するために遺産分割を行うことになります。

 上記のケースで、遺産が父親名義の預貯金200万円と土地建物の自宅があったとすると、例えば、土地建物は母親の単独所有とし、預貯金は子2人がそれぞれ各100万円ずつ取得するというような分割を行います。

 また、遺産分割を行う前提として、①遺言書の有無、及び遺言書がある場合にはその内容、②誰が相続人であるか、③どのような遺産があるかの確認が必要です。

4 遺産分割の方法

 遺産分割を成立させるためには、遺産分割の内容について共同相続人全員の合意が必要です。合意成立の方法については、法律上の定めはありません。共同相続人全員が一堂に会して行っても良いですし、遺産分割の内容を記載した書面を回覧する方法でも有効とされています。

 協議が整えば、口頭での合意でも可能ですが、合意内容について後日争いが生じるリスクがありますし、その後の相続手続き(不動産登記の移転や預貯金の払い戻し等)を行う際に提示する必要があるため、共同相続人全員が署名捺印(捺印は実印)をして遺産分割協議書を作成します。

5 遺産分割の無効

 例えば、遺産分割の方法を指定した遺言の存在を知らないでなされた遺産分割協議は、無効とされる場合があります。具体的には、「もし遺言の存在を知っていたら、そのような内容の協議成立に応じなかった(合意しなかった)」といえるケースでは、無効とされることが多いでしょう。そのため、遺産分割の前提として、①遺言書の有無、及び遺言書がある場合にはその内容の確認が必要です。

 また、本来遺産分割協議に加わるべき共同相続人の一部を除外してなされた遺産分割も無効となります。そのため、②誰が相続人であるかの確認も必要です。

 遺産分割当時に存在した遺産の一部を除外してなされた遺産分割協議は、多くの場合は、未分割の遺産を更に遺産分割することで解決できますが、除外されていた遺産が重要な場合は、遺産分割が全体として無効になることもありえます。そのため、③どのような遺産があるかの確認も必要です。

6 最後に

 このように、相続の際には、多くの場合において遺産分割を行う必要があります。そして、遺産分割には共同相続人全員の合意が必要となります。合意成立の方法について法律上の定めはありませんが、遺産分割協議書を作成したほうが良いでしょう。

 遺産分割を有効に成立させるためには、事前に①遺言書の有無、及び遺言書がある場合にはその内容、②誰が相続人であるか、③どのような遺産があるかの確認が必要です。  いざ相続の手続きをしなければならないという場合は、まずは、上記の点に気を付けてください。