事務所が移転しました
このホームページでもお知らせしておりましたが、福岡第一法律事務所は、先月下旬に引っ越しをして、2026年7月29日から、福岡市中央区赤坂1丁目13番35号のOZUビル赤坂6階で業務をしております。
OZUビル赤坂は、1階に牛丼の「吉野家」、2階に「コメダ珈琲店」が入居している新築のビルで、福岡市営地下鉄赤坂駅の1番出口または6番出口(エレベーター)からは徒歩1分の至近にあり、交通の便もさらによくなりました。
事務所移転を機に、事務所員一同新たな気持ちで頑張りたいと思いますので、引き続き当事務所をどうぞよろしくお願いいたします。
定期賃貸借契約とは
ところで、このたび当事務所はどうして移転することになったのでしょうか。
ここだけの話ですが、実を言うと、事務所を移転したくて移転したのではなく、前の事務所の賃貸借契約が定期賃貸借契約であったため、移転せざるを得なかったのです。
定期賃貸借契約とはどういう契約かというと、契約で定めた一定の期間が満了すれば、契約は終了し、更新されないという契約です。
契約が更新されないので、契約期間満了後も引き続き事務所として借りたいという場合には、建物のオーナー(貸主)と協議して再契約の合意ができればそれも可能ですが、貸主側が応じてくれない場合には、契約は確定的に終了となります。
当事務所も、前の事務所が入居していたビルの貸主に再契約をお願いしたのですが、貸主側は、ビルを取り壊して建て替え工事をする計画であり、残念ながら再契約に応じてもらえず、今回の移転となりました。
普通賃貸借契約と定期賃貸借契約とはどう違うのか
それでは、定期賃貸借契約は、普通賃貸借契約とどのように違うのでしょうか。
ここでは建物の賃貸借に絞って説明しますが、最も重要な違いは、契約の拘束力が普通賃貸借の方が定期賃貸借よりはるかに強いことです。
まず、普通賃貸借は、契約で定めた期間(通常1~2年)が満了しても、特別な事情がない限り、契約の更新が認められます。
自動更新条項といって、契約期間満了前の一定期間内に、当事者の一方が解約や更新拒絶の意思表示をしない限り、同一条件で契約が自動的に更新される旨を定めた条項が入っていることも一般的です。
また、契約更新の際に貸主が賃料を一方的に増額しようとしても、借主の承諾が得られなければできません。
さらに、借主側に賃料滞納などの契約違反がない状況で貸主から中途解約や更新拒絶をしたい場合、「正当事由」が必要とされていて、この正当事由があると認められなければ、賃貸借契約を終了させることはできません。
正当事由とは、借地借家法に考慮すべき要素が挙げられていて、①建物の貸主と借主がそれぞれ当該建物の使用を必要とする事情、②建物の賃貸借に関する従前の経過、③建物の利用状況、④建物の現況、⑤貸主が建物の明渡しの条件として借主に立退料の支払いを申し出た場合にはその申出を考慮して判断するとされています。
このうち①貸主及び借主が建物の使用を必要とする事情が中心的考慮要素であり、それを補完する重要な要素が⑤立退料の支払いですが、実際には、正当事由はそう簡単に認められるものではなく、築50年以上の老朽化建物や耐震診断で危険性が指摘された建物で貸主が相当額の立退料の支払いを申し出たにもかかわらず、正当事由は認められないとされ、貸主が敗訴した裁判例も多数あります。なお、この点に関しては、拙稿の2024年3月24日付け弁護士記事「賃貸借契約の終了と賃貸物件の明渡し | 福岡第一法律事務所」をご覧ください。
これに対して、定期賃貸借は、契約で定めた一定の期間が満了すれば、契約は確定的に終了し、更新は認められません。
貸主が応じれば再契約は可能ですが、普通賃貸借の更新と違って、従前と同じ条件で契約する義務はないため、仮に貸主が大幅な賃料増額を提示したとしても、借主は何の文句も言えず、賃料増額に応じるか退去するかしか選択肢はありません。
貸主は、定期賃貸借の契約期間が満了しさえすれば、普通賃貸借の場合のような更新拒絶の正当事由など一切必要とせず、借主との契約を終了できます。
そうすると、定期賃貸借は、貸主側に一方的に有利であり、借主には何のメリットもないようにも思われます。
しかし、定期賃貸借は、借主の権利が弱いかわりに、普通賃貸借より賃料が安いのが一般的であり、3年間だけ借りたいといった一時的な使用を目的とした借主にとっては大きな利用価値がある場合もあります。
逆に言えば、長期間の入居を予定している場合には、契約の更新や賃料の値上げリスクの回避、移転費用の抑制などの点で普通賃貸借の方が適しているといえます(ちなみに新しい当事務所のビルは普通賃貸借です)。
普通賃貸借、定期賃貸借いずれの契約においても、ここでは説明していない法的問題が多数あり、専門的知識が必要な場合も多いので、賃貸借契約を巡るトラブルでお困りの方はお気軽に当事務所にご相談下さい。