弁護士記事

2025年10月20日(月)

離婚調停(夫婦関係調整調停)

 離婚をしたいが、当事者同士の話し合いではなんともならなさそうな場合、感情的になってしまう場合、話し合ったが折り合わなかった場合などは、是非調停での離婚の話し合いをお勧めします。

 調停は、裁判所での手続きですが、間に第三者(調停員)が入ってくれる話し合いです。あまり怖がらずに利用しましょう。

 離婚をしたい時には、①離婚調停(夫婦関係調整調停)と、別居している際の夫婦一方と子どもの生活費(婚姻費用)を定める②婚姻費用調停を2つ申し立てます。別々の申立書を準備する必要があります。今回は①の離婚調停についてです。

離婚調停(夫婦関係調整調停)の手続きの流れ

① 申立て

  • 申立先:相手方の住所地を管轄する家庭裁判所
    (例:相手が福岡市に住んでいれば福岡家庭裁判所)
  • 申立人:離婚したい側(または関係を調整したい側)
  • 必要書類
    • 申立書(裁判所のホームページからダウンロード可能。「夫婦関係調整調停」又は、実際に裁判所に足を運んで書式をもらってくる。

申立書は相手に送られるので、別居後の住所を秘密にしている場合には、もともとの住所地など知られている場所を書く

  • 戸籍謄本(全部事項証明書)

本籍地がわからなければ本籍地の記載のある住民票を取って調べる。

筆頭者は結婚する際に苗字を変えなかった方。

2024(令和6)年3月1日から、本籍地が遠隔であっても、お住まいの役所窓口で取得できるようになりました。

  • 年金分割のための情報通知書(年金分割を求めるとき)

年金事務所で取得します。申請してから取得まで1ヶ月くらいかかることが多いので、早めに取得のために動いておく必要があります。

  • 年収を証明する源泉徴収票、所得証明書など(養育費、婚姻費用分担請求をする場合)

源泉徴収票は勤務先で年末に発行されます。所得証明書は1月1日時点で住所地のある役所で取得できます。

  • そのほか、事情説明書、子についての事情説明書、進行に関する照会回答書などの書類も提出を求められます。書式は裁判所のHPにあります。これらの書面は相手から閲覧・コピーを求められればするものもありますので(書類に説明があります。)、相手から見られる可能性があることを念頭において書く必要があります。
  • 費用
    • 収入印紙:1,200円
    • 郵便切手:1,000円~2,000円ほど(裁判所によって異なるため、裁判所に問い合わせるかホームページから調べる。)

       郵便局で購入可能。

      ※弁護士に依頼される場合は弁護士費用がかかりますが、本人でされる場合は上記の費用だけがかかります。

② 裁判所での期日指定

申立後、1~2か月程度で第1回調停期日が指定されます。
家庭裁判所の「調停委員(男女各1名が原則)」が仲介に入ります。

③ 調停の進め方

  • 夫婦は別々の待合室に入り、交互に調停室に呼ばれます
  • 調停委員と話し合い、離婚の理由や希望条件(親権、養育費など)を整理します。
  • 相手方の意見も聴取したうえで、双方の合意点を探ります。
  • 調停委員は、必要に応じて調査官(家庭裁判所調査官)に意見を求めることもあります。
  • 話し合いは一度の期日で終わることはまずありません。その場合、1ヶ月くらい先の期日を決めて、次回の期日までに確認しておくこと、提出する資料、検討しておくことが宿題として出されます。

※弁護士が代理人として同席することも可能です。

④ 合意・成立

  • 話し合いがまとまると、「調停成立」として裁判所で調書が作成されます。
  • この調停調書は確定判決と同じ効力を持ち、強制執行も可能です。

⑤ 不成立の場合

  • 合意に至らないと「調停不成立」となり、離婚したい側が離婚訴訟を提起すれば「離婚訴訟(裁判)」に移行できます。

 調停で決める主な事項

調停では、単に「離婚するかどうか」だけでなく、離婚に伴うあらゆる条件を話し合います。申立書にも、離婚自体だけでなく、親権者、面会交流、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料についての希望を記載する欄があります。

分野主な内容
🧑‍🤝‍🧑 離婚自体離婚するか否か
👶 子ども関係親権者、監護権者、養育費、面会交流の方法・頻度、教育費負担など
💰 財産関係財産分与、年金分割の割合(これは通常2分の1になります)
💸 慰謝料関係不貞・暴力・モラハラ等に対する慰謝料請求
🏠 住居関係婚姻中の自宅をどちらが使用するか、賃貸契約・ローンの処理など

🕊️ 補足:調停を円滑に進めるためのポイント

  • 感情的にならず、自分の希望を整理してメモにしておく
  • 証拠や資料(通帳、給与明細、家計簿、LINE・メールなど)を準備
  • 子どもに関することは、「子の利益」を最優先に考える
  • 難しい場合は、弁護士や調停委員に相談して冷静に進める

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弁護士紹介國府 朋江

國府朋江 弁護士

弁護士登録:2012年

京都出身で、福岡には全く地縁はありませんが、福岡の魅力に惹かれてやってきました。
自分は弁護士に関わり合いになることはない・・・そう思われる方が大半だと思います。
しかし、労働、離婚、相続、交通事故、近隣問題といった様々な分野で、自分が望むと望まざるとにかかわらず、紛争の当事者となってしまうことはたくさんあります。
争いごとに巻き込まれると、それだけでとても精神的にも肉体的にも大きな負担がかかることになります。
そのため、私は、ご依頼者の気持ちに寄り添ってお話を聞くことに力を入れています。また、どのようにすれば最もご本人にとっての利益になるのか、法的側面から検討するとともに、ご本人の負担を軽減し、次のステップへと進んでいただけるようにしたいという思いから、ご提案をさせていただいています。