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退職・解雇の基礎知識

退職強要への対処法

私は、定年まであと5年あるのですが、会社から、「会社の経営状態が悪いので、早期退職に応じてくれないか。」と、いわゆる「退職勧奨」を受けています。私には、扶養している高齢の両親もおり、家のローンなども残っていて、他に収入の当てもないので会社に残りたいのですが、上司から頻繁に個別の呼び出しを受けて退職を迫られており、毎日出社することが苦痛なほどです。どのように対応すればいいですか。そもそも「退職勧奨」は、法律上許されるのですか。

退職届を出すかどうかは、極めて慎重に考えてください。

退職したくないということであれば、まずは、退職を口にしたり、あるいは退職届を出すことは、絶対にしないでください。なぜなら、一旦、退職届が受理されれば、これを撤回して法的に争うことは極めて難しいからです。
(⇒退職届の撤回は認められるかを参照してください。)

退職勧奨の限界

次に、退職勧奨は許されるのか、許されるとすればどのような場合に許されるのか、という退職勧奨の限界の問題については、裁判例においてはおおよそ次のように考えられています。すなわち、退職勧奨自体は許されるが、退職勧奨の手段・方法が社会通念上相当な範囲を逸脱している場合、たとえば、➀労働者の名誉感情を傷つけるようなやり方をする場合、あるいは、②労働者が退職するか否かについての自由な意思形成を阻害するようなやり方をする場合には、不法行為として違法となり使用者に損害賠償責任が発生するというものです(下関商業高校事件・最高裁昭和55年7月10日判決・労働判例345号20頁参照)。

違法な退職勧奨の賠償額

次に、それでは、退職勧奨が違法な場合に、損害賠償額としてどれくらいの請求ができるでしょうか。この点、多くの裁判例では、退職勧奨を受けて退職を余儀なくされたケースでも、精神的苦痛に対する慰謝料と弁護士費用に留める傾向があるようですが、しかし退職勧奨がなければ勤務を継続することができたとして、逸失利益として6か月分の賃金と慰謝料100万円及び会社都合の退職金などを損害賠償として認めた判例もあります(エフピコ事件・水戸地裁下妻支部平成11年6月15日判決・労働判例763号7頁)。

あなたのケースでは、頻繁に呼び出されて出社するのも苦痛であるということですから、退職勧奨の手段・方法が社会通念上相当な範囲を逸脱していると判断される可能性もありますので、詳しい事情を含めてぜひすぐに弁護士に相談してください。

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