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退職・解雇の基礎知識

辞職(退職)の自由について

私は、別の会社に転職したくて、会社に辞職(退職)を申し出ました。すると、社長から、「いま辞められたら会社に損害が生じるので、損害賠償を請求する。」と脅されて、大変心配しています。私は、辞職の自由はないのでしょうか。また、損害賠償は本当に認められるのでしょうか。

辞職(退職)は原則として自由

使用者からの解雇は、解雇制限法理などによる制約を受けますが、労働者からの一方的な労働契約の解約である辞職(退職)は、原則として自由です。なぜなら、日本国憲法18条は奴隷的拘束を禁じていますし、22条では職業選択の自由も認められているからです。働きたくない会社でいつまでも働かなければならないということはありません。ただし、民法の「雇用」という項目に退職に関して一定の規定があり、その適用を受けるので注意が必要です。なお、2017年5月26日に、「民法の一部を改正する法律」が成立し、2020年4月1日から施行されており(以下、改正後の民法を「新民法」といい、改正前の民法を「旧民法」といいます。)、雇用契約に関する規定の改正も含まれていますので、辞職(退職)に関するルールも若干変更されています。

民法による規定

契約の種類により規定の内容は異なります。次の通りです。

① 期間の定めのない労働契約の場合

期限の定めのない労働契約の場合、辞職(退職)するのに理由は一切いりません。辞職(退職)する2週間前に辞職の申し入れ(予告)をすれば、その予告した日から2週間経過後に契約は当然に終了します(民法627条1項)。(ただし、6か月以上の期間によって報酬を定めた場合、例えば年俸制の場合は、辞職の申し入れ(予告)は、3か月前にしなければなりません(民法627条3項))。

なお、旧民法では、期間によって報酬を定めた場合(月給制や週休制など)には、期間の前半に、次期以降について辞職(解約)の申し入れをすることができると規定していましたが、新民法においては、労働者の辞職の自由を保護するため、労働者からの辞職(解約)の申し入れについては、この制限はなくなりました。したがって、労働者は、いつでも辞職(解約)の申し入れができ、申し入れの日から2週間を経過することによって労働契約(雇用関係)は終了します(ただし、6か月以上の期間によって報酬を定めた場合(年俸制など)の場合は3か月前に予告する必要があるのは前述のとおりです。)。

期間の定めのない労働契約の場合、上記のように民法の規定に従った辞職(退職)の手続きを踏むならば、会社からの損害賠償が認められることはありません。この点、損害賠償請求をする等と言って労働者を脅して自由に辞めさせない悪質な会社も見受けられますが、辞職(退職)にそのような制約を課すことは違法ですから、是非弁護士に相談して適切に対応してください。

② 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)の場合
ア 途中解約の制限

期限の定めのある労働契約の場合には、期限の定めのない場合と異なり、契約期間の途中に辞職するためには、「やむを得ない事由」が必要です(民法628条の反対解釈)。「やむを得ない事由」がある場合には、直ちに解約して辞職することができます。

イ やむを得ない事由とは

では、どのような場合が「やむを得ない事由」に当たるのかというと、会社が賃金を支払ってくれない場合、職場環境が劣悪で危険を感じる場合、違法な行為を強要される場合などが考えられます。雇用保険法32条の「雇用保険の受給制限のない自己都合退職」や特定受給者の要件に該当する場合も、「やむを得ない事由」に該当すると言えるでしょう。詳しくは、弁護士に相談されることをお勧めします。

ウ 契約期間の上限

このように期間の定めのある労働契約の場合、中途解約の制限(民法628条)があることから、労働者が長期にわたって使用者の下に拘束されるおそれがあるため、このような人身拘束を防ぐために、労働基準法14条1項で契約期間の上限が規制されており、有期労働契約の期間の上限は3年(厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者及び60歳以上の労働者については上限は5年)とされています。

エ 契約から1年を経過した場合

なお、期間の定めのある労働契約の場合であっても、契約の初日から1年経過後は、労働者はいつでも、つまり「やむを得ない事由」がなくても、辞職できます(労働基準法附則137条)。(ただし、これは厚労大臣が定める基準に該当する専門的知識を有する労働者及び60歳以上の労働者には適用されません。)

オ 損害賠償が請求された場合には

「やむを得ない事由」が認められない場合に、労働者が一方的に辞職して会社を辞めてしまった場合には、労働者は損害賠償請求をされる可能性があるでしょう(民法628条)。万一、損害賠償請求を受けてしまった場合には、使用者が不当な賠償額を請求する例もありますので、速やかに弁護士に相談した上で対応してください。

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