國府朋江 弁護士記事

2025年6月23日(月)

協議離婚はどのようにすすめるか

日本では、夫婦の話し合いで離婚をする協議離婚が9割だということです。では、協議離婚はどのように進めるのでしょうか。

事前準備

財産関係の把握

  • 口座残高、預貯金、株式・投資信託などの金融資産
  • 不動産(自宅、投資用不動産など)の所有状況、抵当権付き住宅ローンの残債
  • 自動車、家具・家財、その他高価値財産
  • 負債(住宅ローン、車ローン、カードローン、学資ローンなど)の一覧
  • 年金分割の検討:婚姻期間中に加入していた厚生年金・共済年金の情報収集
    これらは後の財産分与交渉の基礎資料となるため、通帳・明細書、不動産登記簿謄本、各種契約書類などを揃えて一覧化します

収入・支出の把握
離婚後の生活設計のために、自身・配偶者の収入状況(給与明細、確定申告書など)や住宅費・教育費・保険料などの毎月の支出を整理します。特にシングルマザー・シングルファーザーになる場合は、生活費の見積もりが重要です

子ども関連情報

  • 現在の子どもの生活費、教育費、習い事費用など
  • 保育園・学校の状況、将来的な進学先の検討
  • 子どもの健康状態や特別なケアが必要かどうか
    これらは養育費や親権・面会交流の条件を具体的に考える際の材料となります

 

いざ話し合い

 

  1. 離婚の意思確認
  • 双方が離婚に合意していることが前提です。
  • 一方が離婚に反対している場合は、協議離婚ではなく調停や裁判の手続きになります

ちなみに、私は依頼者には、協議ではなく、さっさと調停を起こすことをおすすめしています。なぜなら、結局協議はととのわず調停をすることになって、これなら最初から調停しておいたらよかったね・・・ということになる場合が多いからです。また、婚姻費用が未払いである場合、裁判所は調停を起こした時点以降の婚姻費用しか支払うように言ってくれませんので、この点からもさっさと調停を起こすほうがよいと考えています。

 

  1. 話し合っておくべき内容

離婚届を提出する前に、以下の項目について合意し、文書化しておくことが望ましいです。

  ① 財産分与

  • 共有財産(預貯金、不動産、車、保険など)の整理
  • 借金がある場合はその分担も含めて話し合う

  ② 養育費(未成年の子どもがいる場合)

  • 金額、支払方法、期間(通常は20歳まで)
  • 支払いの期限や方法(振込、現金など)

  ③ 親権者の決定

  • 協議離婚では、親権者が離婚届に記載されていないと受理されません

  ④ 面会交流(面接交渉)

  • 面会の頻度、方法(直接会う、オンライン面会など)
  • 学校行事への参加、誕生日など特別な日への対応

  ⑤ 慰謝料(該当する場合)

  • 不貞やDVなどの理由がある場合は慰謝料についても取り決め

 

  1. 離婚協議書の作成(任意)
  • 話し合いの内容を離婚協議書として文書にしておくと安心です
  • 公正証書にすると、養育費や慰謝料など金銭の支払いについて強制執行が可能

 

  1. 離婚届の準備
  • 市区町村の役所で入手可能
  • 必要事項を記入(親権者も記載)
  • 当事者の署名・押印
  • 証人2名の署名・押印(成人であれば誰でも可)
  • 提出先:夫婦どちらかの本籍地または所在地の役所

 

離婚後の手続きも忘れずに

離婚後の手続きについては以下にまとめていますのでご参考にされてください。

離婚後の手続きの注意点 | 福岡第一法律事務所

 

終わりに

協議できちんとした取り決めができて、離婚まで完了すればそれに越したことはありません。

しかし、取り決めの内容に漏れがあったり、財産分与や養育費といったお金の問題で一方に極めて不利益な内容になっていたりする場合もよくみかけます。

協議は慎重に、できれば専門家である弁護士に相談はしていただいてから合意書を交わすことをおすすめします。

 

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弁護士紹介國府 朋江

國府朋江 弁護士

弁護士登録:2012年

京都出身で、福岡には全く地縁はありませんが、福岡の魅力に惹かれてやってきました。
自分は弁護士に関わり合いになることはない・・・そう思われる方が大半だと思います。
しかし、労働、離婚、相続、交通事故、近隣問題といった様々な分野で、自分が望むと望まざるとにかかわらず、紛争の当事者となってしまうことはたくさんあります。
争いごとに巻き込まれると、それだけでとても精神的にも肉体的にも大きな負担がかかることになります。
そのため、私は、ご依頼者の気持ちに寄り添ってお話を聞くことに力を入れています。また、どのようにすれば最もご本人にとっての利益になるのか、法的側面から検討するとともに、ご本人の負担を軽減し、次のステップへと進んでいただけるようにしたいという思いから、ご提案をさせていただいています。